第68回 長谷川正の「言ったモン勝ち」
前回のブログにて、創業者が後継者へ事業を承継する意味でバトンタッチという表現を用いました。ですが、会社の経営を承継することの例えとして「バトン」という比喩表現を使っているだけであり、前走者から次走者へのバトンタッチの光景は、事業承継とは全く違うと私は考えます。
バトンと言えば、私は中学校の運動会でのクラス対抗リレーが思い出されます。一般的には2020東京オリンピックでもメダルが期待される男子4×100mリレーでしょう。個々の身体能力では欧米選手に敵いませんが、4人がチーム一丸となって戦うリレー競技は人気ですよね。
「さあ、全社員の興奮も最高潮に達したメインレース、後継者であるあなたは創業者が走りこんでくるのを静かに待っています。平静を装っているものの、内心では緊張で心臓が張り裂けそうです。やがて大きな歓声とともに創業者の姿が少しずつ大きくなってきました。打ち合わせの合図を確認して助走をスタート。息づかいが聞こえそうな距離まで近づくと右手を大きく後ろに伸ばす。同時にバトンが手の平に収まるのを確認し素早く左手に持ち替え一気にギアを上げると、創業者との距離は瞬く間に広がっていった・・・」
想像されるバトンタッチはこんなシーンでしょうか。さて、私が事業承継と異なると考えるのは以下の通りです。
①後継者が創業者の前を走ることはない
→創業者はほぼ間違いなく自己中心的、強引でリーダーシップを持ち常に集団の先頭を好む。一方後継者は創業者の後ろ姿を見て育つもの。仮に後継者が前を走るようであれば、自ら事業を創業して創業者になるべきだろう。
②創業者はバトンを渡す合図を教えることはない
→創業者は、いつバトンを渡そうかというよりもむしろ、いつバトンを渡せるかを常に考えている。つまり、バトンを受け渡すタイミングは後継者によって決定される。
③バトンを渡し終わった創業者が立ち止まってしまうのは問題
→もし、バトンを受け取った後継者がぼんくらだったら会社自体が傾く。そうならないよう創業者は少なくとも後継者に付き添って走り続け、一歩退いた立場から全体を見守るべきである。最悪の場合、再度バトンを受け取っても良いだろう。
あくまでも私的な意見ですので、皆さんの考えと違うところがあって当然です。それでは私が考える事業承継とはどんなシーンなのか、次回のブログで記すことにします。
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