創業者と後継者の違いを考える

第67回 長谷川正の「言ったモン勝ち」


同じ経営者でも創業者と2代目3代目の後継者との違いは何でしょうか。「創業」とは、自ら事業を創り出していくことであり、「後継」とは、既に出来上がっているものを守り、発展させ、永続させていくこと、つまりそれぞれの役割が違います。ではどちらが難しいでしょうか。その問いに答えはなく、必要とされる能力が違うと私は考えます。

創業者に必要なのは強力なリーダーシップです。文字通り事業を創造する、つまり無から有を創り出すわけですから当然と言えます。一方、後継者は創造した事業を受け継ぎ守るわけですから、必要なのはマネジメント能力、つまり管理能力です。組織を築き上げることは大きな功績ですが、その組織を永続させていくことも同様に大きな功績であり、創業者の築き上げた事業を、どのように次世代にバトンタッチしていけるかが後継者の真価が問われるところです。

つまり、我々後継者の世代は、偉大な創業者に決して萎縮する必要はないのです。やや極端な例ですが、購買意欲が著しい戦後の高度経済成長時に本当に自分のやりたい事業を創業することと、少子高齢化で急激な変革があたりまえな現在で自由な選択肢もなく与えられた事業を継続してくことを比較することは出来ないでしょう。

創業者はただ前だけを見てガムシャラに突き進めば良いのですが、後継者の立場としては前を見つつも後ろのことを気にしながら走らなければいけません。その意味では後継者には様々な能力が必要とされているのかもしれませんし、その創業者の背中を見て育ってきた経験があるというのは大きな強みになります。

後継者というキーワードをネット検索してみると、必ず「不足」や「いない」というようなマイナスイメージが先行されますが、違う見方をすると、後継者とは金の卵、ダイヤモンドの原石と言えるでしょう。これは師の言葉からの引用ですが、ダイヤモンドはダイヤモンドからでしか磨くことはできない、人間を磨くには人間が必要。であれば、後継者を磨けるのは後継者のみ、そんな言葉を頭に残しつつ、今日も頑張っていきます。

創業者と後継者の違いを考える


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