【M5Stack】近接センサで機械の稼働監視とは?
基礎・基本を学ぶ

No.184 長谷川正の「言ったモン勝ち」


近接センサを使って機械の稼働状態をモニターしてみる

最近のトレンドで「IoT化、DX推進」がありますが、大多数の中小企業がどこから手を付けて良いのか悩んでいると思われます。一般的に工場のIoT化としてのセオリーは、機械の稼働データを「収集」して「蓄積」し、それを「活用」することです。つまり、工場の実態把握からスタートするのですが、手書きの日報から機械別稼働時間を拾ってエクセル入力し、稼働率を強引に導き出しているようではIoT化に逆行しています。理想的には何もせず自動的に稼働データが収集されるような仕組みを作る必要があります。ですが、実際には機械設備が老朽化している、汎用(手動)機械である、設備更新するお金もない、などの理由から、スタートさえもできない企業がほとんどでしょう。大企業のようにお金をかければ何でもできますが・・・、そんな余裕もありません。

オムロンの磁気形近接センサGLS

M5Stack を活用することで、そんな膠着状態を抜け出す案を模索していたところ、プレス機や射出成型機のようなシリンダーの往復運動であれば近接センサのON/OFFによってショット数を取得できるし、更に時間情報を付加すれば機械の稼働率も算出できるのではないかと考えました。早速、手頃な近接センサーを検索し、オムロンの磁気形近接センサGLSを購入。構造も簡単で、なにより一流メーカー製で価格1,080円(定価)は安くて魅力的です。

M5Stackとの接続方法

M5Stackと近接センサを使ったサイトをネットで検索したのですが、参考になるものは見つかりませんでした。であれば、自分で何とかするしかありません。近接センサの構造を調べてみると、スイッチ部とマグネット部がセットになっています。つまり、マグネット部をスイッチ部に近づければスイッチ部ケース内の接点が接触(ON)し、突出している2本のコードが接続されて電気が流れる構造になっています。であれば、ほぼ同じ構造の一般的な押しボタンを使ったサイトが参考になるのでは?と推測しました。ちなみに、下の写真のM5Stack 用ボタンユニット(U027)を参考にしました。

GROVEコネクタを使用する時の注意点

サンプルスケッチはこちらからすぐに見つかりましたが、ここで注意しないといけないのは、ボタンユニットのGROVEコネクタはPORT.B(黒色)に接続することを標準としているため、M5Stack BASIC等のPORT.A(赤色)を利用する場合はちょっとした工夫が必要です。なお、PORT.AはGNDと5VのほかにSDAとSCLを使用していますが、SDAは21番ピン、SCLは22番ピンと共用しています。そのため、今回はSCL(22番ピン)を選択し、このボタンユニットのGROVEコネクタをPORT.Aに差し込んで使用する場合、スケッチでのデジタル入力のピン番号を22に置き換える必要があります。また、この近接センサではGND(黒)と22番ピン(白)の2線だけをGROVEコネクタを使って接続するため、写真のようにGROVEコネクタをダミーとして5VとSDAの端末処理としています。

先ずは自宅の冷蔵庫で検証

この近接センサを工場の射出成型機に取り付けて稼働状況をモニターし、稼働データはGoogleスプレッドシートに自動的に蓄積していきます。ここで、近接センサが正常に検知していることを確かめるために、先ずは自宅の冷蔵庫で検証してみることにしました。下の写真のように、冷蔵庫の本体上部に近接センサのスイッチ部を、扉の上部にマグネット部を取り付け、冷蔵庫の扉が開閉されたことを検知していきます。仕様書によると、スイッチ部とマグネット部との隙間が18mm以内であれば検知するみたいです。

LINE Notifyを使ってスマホへ送信

また、Googleスプレッドシートに記録されたことを確認するためだけにPCを開くのは面倒ですので、自分のスマホにLINEメッセージを送信するように設定しました。これで、いつでもどこでも冷蔵庫のドア開閉をモニターすることができます。これってよく考えると、離れて暮らす両親の生活をそっと見守ることができる「安否確認サービス」に代用できますね。

M5Stack ATOM Matrix用のスケッチ

下記にM5Stack ATOM Matrix用のスケッチを掲載します。今回はM5Stack BASICを使わずに、省スペースで安価なM5Stack ATOM Matrixを使って検証してみました。ちなみに、ATOM Matrixと近接センサーを合わせても総計4,000円弱ですので、お金のない中小企業にとってうれしい金額でシステムが組めました。なお、ATOM MatrixではPORT.AのSCLピン番号が32番のため、上記スケッチの#defineにて、デジタル入力のピン番号を32に指定しています。※ATOM MatrixのGPIOピン番号は、ATOM Liteと共通です。

次回のブログでは、実際に工場の射出成型機に取り付けた様子を報告いたします。

参考)【M5Stack】ICカードにデータを書き込まない方法とは?
参考)【M5Stack】UID情報をスプレッドシートに記録とは?
参考)【M5Stack】Googleスプレッドシートからパワークエリを使ったデータ取込とは?
参考)長谷川製作所の得意技術(防水照明器具製造)


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