照明メーカーが推奨する電球の選び方とは?
基礎・基本を学ぶ

No.168 長谷川正の「言ったモン勝ち」


絶対に押さえたい5つのポイント

一般の方は家の電球が切れた時に家電量販店に出向きます。その際には切れた電球を持ってきて同じものを探そうとしますが、沢山ありすぎるので選び方に迷う方が大半だと思われます。定員を呼んで説明を受ければ手っ取り場早いのですが、その定員も電球のことをよく理解していない場合も多い。でもそんなことより、自分が買うものは自分で決めたい、と思っている方は、次の5つのポイントを押さえておきましょう。

1.種類

電球は大きく3つの種類に分かれます。ガラス球の中のフィラメントが光る定番の「白熱電球」とガラス球の中に蛍光灯が入った「電球形蛍光灯」、そして省エネで長持ちする「LED電球」です。仮に切れたのが白熱電球だった場合、同じ白熱電球に交換するのか。それとも今や主流になりつつあるLED電球を選ぶのか、もしくは値段が手ごろな電球形蛍光灯を試してみるのか、悩みは尽きません。ですが、それぞれのメリットデメリットを理解しておけば後悔はしないでしょう。下記の表にそれぞれのメリット・デメリットをまとめておきましたので参照願います。なお、電球形蛍光灯は点灯のスイッチ1回に付き約1時間寿命が短くなる(これを点灯寿命といいます)ため、頻繁に点灯消灯を繰り返す場所などはLED電球が適しています。

電球別のメリットデメリット

現在の新規購入時のシェアはLED電球がダントツ1位。ですが、シェアは減っているけど「光のきらめきや陰影、色の雰囲気は白熱電球のほうが出しやすい」など白熱電球ならではの良さもあります。電球のガラス内側にフィラメントが見える利点を生かし、装飾的に白熱電球が使われる場合もあります。最近はフィラメントをLEDで再現しているLED電球もありますので、技術の進歩は目を見張るものがあります。

2.口金のサイズ

電球のガラス表面の表記を見ると「E○○」といった印刷がされているはずです。これは「口金(くちがね)」と呼ばれるもので、国内規格は国際電気標準化会議(IEC)の取り決めに準じ、日本産業規格(JIS)によって統一されています。○○の数字部分がサイズ(ミリメートル)となり、口金部分の直径を表します。実際に照明器具の取り付ける金属部分の直径を測ることでも確認できます。定番の口金として一般家庭に使われるのは「E26」、また「E17」はダウンライトに使われることが多くなっています。現在、JISが定める口金は全7種類(下記参照)ありますので、これだけは絶対に間違えないようにしてください。小ネタとして、「E」とは白熱電球を発明したエジソンに由来しています。

口金別の主な用途

3.明るさ

家電量販店の陳列棚に並ぶパッケージには様々な表記が溢れています。光束例えばLED電球の箱には「一般電球60W相当」など、白熱電球と比較した明るさが記載されています。えっ、「60W相当」って60Wじゃないの?と聞き返したくなりますが、全く違うものです。かつて白熱電球が全盛の頃は、明るさの基準をワット(W)で表記していましたが、厳密にはワットとは明るさを表す単位ではなく消費電力を表す単位のため、最近になって光束(光の量)を表す単位がLED電球に表記されるようになりました。それが「ルーメン(lm)」です。例えばE26口金の場合、白熱電球の100W形は1520ルーメン、60W形は810ルーメン(下表を参照)となります。更には電球形蛍光灯の表記では25形や15形などもあるので混乱しないようにしましょう。

明るさの目安(E26)
明るさの目安(E17)

では、白熱電球をLED電球に交換する場合、ルーメンが同じなら同等の明るさになるか?と問われたら、「ならなかった」と答える方は多いです。しかし、それは捉え方の問題となります。例えばLED電球が出始めた頃、付け替えた部屋が暗く感じたのは「配光角(光が照らす角度)」が原因にあります。光が全方向に広がる白熱電球や電球形蛍光灯は配光角が広いため空間全体を照らし、一方では、LED電球は直線的に光が進むので配光角が狭く、光が拡散しにくいので暗く感じたのでしょう。現在ではLED電球でも白熱電球に近い広がり方をするものや、ダウンライト用として下方向を照らすものなど、各メーカーが「配光角」に工夫をこらした商品をそろえているので、電球の種類による違いはほぼなくなっています。ちなみに、LED電球の「配光角」の代表的な種類は「全方向タイプ」から「高配光タイプ」「下方向タイプ」まであり、後者ほど配光角が狭くなっています。

また、明るさだったら「ルクス(㏓)」では?と考える方もいるかもしれません。確かにルクスも明るさを示す単位ですが、計測する基準が違ってきます。ルーメンは「照明器具そのものの明るさ(光束)を示す単位」であることに対し、 ルクスは「光に照らされた面の明るさ(照度)」を示す単位となっています。地震の例で言い換えてみると分かり易く、地震の大きさを表すのがマグネチュード、ある特定地点の揺れの大きさを表すのが震度ですので、ルーメンがマグネチュード、ルクスが震度となります。ややこしい明るさの単位のルクスとルーメンの違いに関しては、こちらのブログにも記述していますので参考にしてください。

ルクスとルーメン

4.色調

例えば、電球で部屋のイメージを変えたい時や、お洒落なレストランのようにディナー時の食卓の雰囲気を一新したい時など、「色(色調)」の効果は絶大です。なお、色温度の単位は「ケルビン(K)」にて表記され、ケルビン値が低いと赤く、高くなると白、更に高くなると青白くなるといった具合に、LED電球や電球形蛍光灯には、JIS規格(JIS Z 9112:2012)による5つの区分があります。「電球色(でんきゅうしょく)」、「温白色(おんはくしょく)」、「白色(はくしょく)」、「昼白色(ちゅうはくしょく)」、「昼光色(ちゅうこうしょく)」です。それぞれの特長を下記の表にまとめていますので、電球選びの参考にしてください。実際の色味を画像にて確認したい方は、(一社)日本照明工業会のHPがとてもよく分かり易いです。

ところで、電球にはもう一つ「演色性(Ra)」という単位があり、太陽光が当たった時の色をどのように照明で再現しているのかを100点満点で示す指標となります。LED電球がRa80~90にとどまるのに対し、白熱電球はRa100、つまり100点満点。そう考えると、白熱電球の下の家庭料理がおいしそうに見えるのは、理にかなっているのかもしれません。もちろん、「見える」だけではありません、偉大なる妻には感謝、感謝です。

5.メーカー

私の周りには「メーカーは問わない、安さで選ぶ」という人は多い。ですが、海外メーカーを含めてこれだけLED電球メーカーが乱立している今となっては、メーカーこそこだわってもらいたいと強くアドバイスしたい。気軽に購入できる白熱電球やお手頃価格の電球形蛍光灯ならまだしも、LED電球は高価です。例えば、電球交換に脚立などが必要となる場所などは寿命が長いLED電球を選びましょう。手間は少ないに越したことはありません。

ちなみに、私が最も重要視する基準は、メーカー選びというより、返品交換のしやすいお店で買うことです。良くも悪くも全ての工業製品はある一定割合で不具合品が発生します。確かにネット購入すれば安いことは安いのですが、いざ返品交換となった場合、連絡方法や発送などがとても煩わしいと感じています。それより、たとえ不具合品であったとしても、その旨を対面にて店員さんへ申し出て「かしこまりました!」と笑顔で交換してもらえるだけで不具合なんて忘れてしまいます。今では国内から海外まで多くの電球メーカーが乱立し、価格も区々(まちまち)です。当社も例外ではありませんが、品質レベルを維持するための適正費用を単価に乗せているものと私は判断しています。

参考)ルーメンとルクス、ケルビンとカンデラとは?
参考)長谷川製作所の得意技術(防水照明器具製造)
参考)リチウムイオンバッテリーの種類と特徴とは?
参考)リチウムイオンバッテリーの劣化と寿命とは?
参考)リチウムイオンバッテリーの自己(自然)放電とは?


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