No.163 長谷川正の「言ったモン勝ち」
製造業の電気料金削減(節約)とは?
高騰する電気料金
梅雨明け(6月25日)の猛暑が連日続き、私の身体が悲鳴を上げています。新聞やテレビで連呼されているように、熱中症防止のため家でも会社でもエアコン全開にしていますが、最近値上がりしている電気料金も気になります。世界的なエネルギー不足では電気料金の高騰も仕方ないのかなと諦めモードですが、それでも少しでも省エネして電気料金を削減しなければ、と思い立った当社の電気料金削減(節約)術を紹介します。
一般的な電気料金の内訳
前置きとして、電気料金について若干説明をします。ひと昔は、一般家庭の電気料金は電力会社と取り交した契約アンペア数によって決まる「基本料金」、それに実際に電気を使った分の「電力量料金」をプラスしていました。しかし、2000年に電力の小売自由化がスタートした後は、新電力会社が「基本料金」と「電気量料金」を独自に決定できるようになりました。なお、スマートメーターが普及したことがその背景にあります。しかし、電力が自由化された弊害として、電気料金の内訳に「再生可能エネルギー発電促進賦課金」が追加になりました。ちなみに「再生可能エネルギー発電促進賦課金」とは、”某家庭や某企業が太陽光発電などによって生み出された電気を販売して得たお金を、電力会社に替わって我々一般家庭が補填しましょう”、という制度のための補填金です。
一般家庭とは違う製造業の電気料金体系
一般的に、家庭と法人では電気料金の内訳が大幅に異なります。顕著なのは「基本料金」。一般家庭では電力会社と取り交した契約アンペア数(10A~60A)によって決定されますが、一方で、大きな機械などを動かす電気(高圧電力)が必要な製造業(法人)などは、当月と過去11か月の電力利用期間で、30分単位の電気使用量の最大値を2倍(1時間単位:kwh)にした「デマンド値」を基準として基本料金が適用されます。つまり、今日の「基本料金」は過去1年間のデマンド値がベースとなるため、もし、今日電力を同時に使いすぎて最大需要電力(デマンド値)を越えてしまった場合、その高くなった基本料金は1年後の今月まで引き継がれることになります。言い換えれば、今頑張ればその効果は1年間持続し、逆に失敗すれば1年間はずっと我慢しなければなりません。
製造業(法人)の電気料金を削減する2つの方法
①最大需要電力(デマンド値)を低くする → 基本料金の削減
②使用する電気量を減らす → 電気量料金の削減
法人が電気料金を削減するためには、「基本料金」と「電気量料金」の両方にメスを入れる必要がありますが、特に「基本料金」は1年間の総決算が反映されるため、事前に計画を立てて戦略的に取り組む価値があります。ご参考ですが、当社電気料金の内訳は「基本料金」が23%、「電気量料金」が77%という構成です。しかし、2022年9月の基本料金の値上げ後は「基本料金」が52%、「電気量料金」が48%と逆転する試算となります。ならば、当然「基本料金」を下げる試みが最優先でしょう。これは急がねば・・・。ちなみに、電気料金の総金額では約50%の値上がりとなっています。( ノД`)シクシク…
参考)家庭の契約アンペア数とは?
当社の電力ピーク時間
電力のピーク値、言い換えればデマンド値を抑えるためには、まず当社の現状把握からスタートします。つまり、どの時間にどれだけ電気を消費しているのか、を見える化するのが最初のステップでしょう。幸いなことに、契約している新電力会社のサービスにて、電力使用状況が一目で分かるサイトが提供されていました。そちらによると、リアルタイムではなく1時間遅れとなりますが、当社の30分単位の使用(最大)電気量を追跡することができます。データを吸い上げて整理したところ、下のグラフの通り、当社の電力ピーク時間は9:00と13:00の二つがあることが分かりました。私見では外気温が最高を記録する14:00前後と予想していましたので意外でした。
では、なぜこの時間帯がピークか?という疑問があります。9:00はスタッフの出勤時間かつ製造機械のスタート時間帯、13:00も午後の作業スタート時間ということを考慮すると、一つはエアコン(空調設備)が影響しているのではないか?と推測しました。つまり、朝の出勤時にエアコンのスイッチをオンにした時の、一気に快適温度に下げるMax運転に多くの電気を使ってしまうのではないか、ということです。昼休み(12:00~13:00)にガクンと電気使用量が減ることも、その裏付けとして十分です。
エアコンを消さない電気料金削減(節約)術
次に検証を行いますが、上記推測の対策案として、
①担当者が1時間早く出勤してエアコンをオン
②昼休みもエアコンは消さないで連続運転
という時間差かつ連続稼働を行い、スタート時のMax運転の負荷を分散させることを試みました。果たして結果は・・・。
結果は上のグラフの通り、時間差にて稼働させることで、前日(6/30)の電気使用量(折れ線グラフ)と比較して、当日(7/1)の使用電力量(棒グラフ)のピークを下げることができました。当初は誰もいない工場のエアコンを付けっぱなしにするってものすごく無駄な気がしましたが、意外とエアコンを消さない電気料金削減術ってあるんですね。ただし、9:00前のグラフから分かる通り、使用している電気量は多くなっていますので、削減された基本料金と増加した電気量料金をきっちりと比較する必要があります。
仮説検証の繰り返し
次に考えたのは、ピークが12:00にスライドしているのは何故?ですが、現場のオペレーターに聞き取りしてみると、その時間帯に乾燥炉のスイッチを入れていたことが分かりました。では、乾燥炉も時間差で稼働させれば更なる平準化が可能?など、まだまだ工夫すべきことが山積みです。
このように、仮説を立てて検証してみる、これの繰り返しで電気料金はまだまだ下がる可能性がありますので、当社では引き続き仮説検証を実施していきます。今夏を通して、本当に電気料金が削減できたのかは、追ってブログにて報告いたします。
参考)バッテリーパノラマスタンド
参考)長谷川製作所の得意技術(防水照明器具製造)
参考)リチウムイオンバッテリーの種類と特徴とは?基礎・基本を学ぶ
参考)リチウムイオンバッテリーの劣化と寿命とは?基礎・基本を学ぶ
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