リチウムイオンバッテリー(電池)の
劣化と寿命とは?基礎・基本を学ぶ

No.160 長谷川正の「言ったモン勝ち」


劣化と寿命の考え方

リチウムイオンバッテリーの充電サイクル

スマホに使われている一般的なリチウムイオンバッテリーlithium-ion battery)の寿命を表す指標として、「充電サイクル」という数値が用いられています。この充電サイクルとは、単なる充電の回数ではなく、バッテリー容量100%に相当する電力を充電することを1回とカウントしています。下図に詳細を示すように、例えば最初にバッテリー容量50%充電、次に30%充電、その次に20%充電し、合計100%になって初めて1回の充電サイクルと計算しています。また違う視点より、充電ではなくバッテリー容量100%に相当する電力を放電したこと(放電サイクルと呼ぶ)も、広義では充電サイクルと同じものと考えても良いでしょう。

バッテリーの充電サイクル

バッテリーを劣化させないためには?

ところで、上記のような継ぎ足し充電はバッテリー性能を低下させる、と聞いたことがある方もいるかもしれませんので若干補足いたします。その昔、「二次電池」の主流がニッケル・カドミウムバッテリーNickel-Cadmium rechargeable battery:Ni-Cd)とニッケル・水素バッテリーNi-MH )だった頃、充電を始める前にはバッテリー残量をゼロ近くまで使い切る必要がありました。なぜなら、残量がある状態で継ぎ足し充電を繰り返すと、残量をバッテリー容量と認識しない「メモリー効果」が発生し、バッテリー性能が低下するためです。ですが、現在主流であるリチウムイオンバッテリーはメモリー効果が起きにくいため、携帯電話やスマートフォンを頻繁に継ぎ足し充電しても特段問題ありません。しかし、ここで注意したいのは「毎日寝る前に必ず充電、翌朝には100%」という満充電状態が日常的に続くと、バッテリー内部の熱による劣化が進行し、寿命低下を引き起こす可能性があるということです。ですが、最新技術によると、現在の携帯電話やスマートフォンには過剰に充電されないような保護機能が標準搭載されています。つまり、充電100%となった時に充電状態を解除、自然放電にて充電レベル95%以下となれば再び微弱電流で充電を開始するといった「電池にやさしい」充電制御で設計されているため、バッテリー寿命低下の可能性は低いのかもしれません。また一方で、容量ゼロまで完全放電してしまってもバッテリーは劣化してしまうので、充電レベルには細心の注意が必要です。ショップなどで新規購入する携帯電話やスマートフォン本体の電池残量が、ほとんど切れる寸前もしくは多くとも半分程度の状態で販売されるのはこのためです。

リチウムイオンバッテリーの寿命の定義

現在では、リチウムイオンバッテリーの寿命について、一般的な定義は定められていないのが実状です。なお、私たちが日常的に接するリチウムイオンバッテリーは、スマホなどに使用されているバッテリー(リチウムポリマー系)と思われますが、その寿命の目安は、バッテリー容量が50%に低下する500回の充電サイクルと、多くのメーカーが定めています。下記の引用グラフをご参照ください。

バッテリーの寿命日経XTECより引用

一方で、家庭用蓄電池などで使われているリン酸鉄系の寿命の目安は約10,000回(10~15年)など、種類によってバラつきがあります。つまり、リチウムイオンバッテリーと言っても、正極・負極に使われる物質や電解質の種類(○○系)によって細かく分類され、それぞれ特徴や用途なども異なってきます。こちらのブログには、リチウムイオンバッテリーの種類、特徴、寿命の目安(サイクル)を簡潔にまとめてありますので、興味のあるお方はご参照ください。

参考)バッテリーパノラマスタンド
参考)長谷川製作所の得意技術(防水照明器具製造)
参考)リチウムイオンバッテリーの種類と特徴とは?基礎・基本を学ぶ
参考)リチウムイオンバッテリーの自己(自然)放電とは?基礎・基本を学ぶ


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