電線分岐加工とは?
スズラン(すずらん)灯
ひと昔前、夜間の工事現場の安全確保などで歩行者の注意を喚起するように、フェンス囲い伝いに一定間隔で電球もしくは三角(カラー)コーンが光っている光景をよく目にしました。その何個にも連なっている灯りそのものをスズラン灯もしくはスズラン照明と呼んでいます(下記イラスト参照)。残念ながら最近の工事現場ではチューブの中が光るチューブライト、または電池で光る三角コーンが主流になっていますので、街中でスズラン灯が見られる機会は減っています。しかしながら、スズラン灯は地域のお祭りやイベントの提灯を灯すために欠かせない、我々の日常生活に密接しているアイテムとなっています。ちなみに、スズランという言葉は、春に開花する花のスズラン(鈴蘭・すずらん)から引用され、花が鈴なりに咲いている様子がそっくりだからとも言われています。
1ヵ所のコンセントから複数個の電球を点灯させることができますので、華やかさを求める装飾用としても使われています。当社が在庫する工事現場用の標準品は電球数が6~12灯、ピッチ(電球の間隔)は2~4m、長さ(全長)は20~50mとなりますが、電球の数やピッチ、長さ(全長)は全てオーダーメイドが可能です。また、用途に合わせて電線の種類も選択することも出来ます。分岐された先は一般電球用ソケット(E26)仕様となりますので、一般電球よりも割れにくく寿命が長いLED電球を使うことも多くなりました。
オーダーメイドが可能であっても、規格外製品の注文は承っておりません。例えば、「電球数100灯の100mのスズラン灯」は製造不可となります。なぜなら、一つのコンセントから使用できるのは「1,500Wもしくは15A以下」と規格に定められているため、使える電球が限定されるからです。また、厳密に言うと、コンセントからとれる電圧が100Vであっても100m先では100V以下に落ちる。また、途中で電球等を使用すればさらに電圧が落ちてしまうという電圧降下(ドロップ)が発生するためです。もし、そのような使い方をされる場合は、一度メーカーに相談することをおススメいたします。
なお、この電線分岐技術は500kw未満の電気工作物や自家用工作物の電気工事に属しますので、製作するためには国家資格である第二種電気工事士の免許が必要となります。ホームセンターでパーツを買い求めて自作することも出来ますが、全て自己責任となりますのでご注意願います。
長谷川製作所の
電線分岐加工技術
提灯(ちょうちん)コード
まず、フックが付いていること。このフックは、提灯のツルを引っ掛けるものであり、かつフックを紐などに引っ掛けてコード自体も保持するという複数機能を持っています。紐なんていらないのでは?とも思われますが、紐を使わないで提灯コードをセッティングすると、コード自体に引っ張りの力が働きます。つまり、常にコードを両側から引っ張っているようなもので、コードが長くなるほど、提灯の数が多くなる(重くなる)ほど、コードのたわみを小さくするほど引っ張りの力が強くなります。加えて、屋外で提灯が受ける風雨などの影響も少なくありません。言い換えれば、一般的なコード(電線)自体には引張強度の規格があり、その規格内に収まるようにフックが付いているとも言えます。
次に防水ソケットが使用されていること。もともと電球をねじ(または差し)込むための器具をソケットと呼びますが、その構造より下部からの水の侵入を防止することは出来ません。しかし、ソケットを下向きに使用するという環境下で「線付防水ソケット(JIS C 8302)」という唯一の防水規格が存在します。つまり、安全に提灯コードを使用するためには、構成されるソケットも防水であることが必要条件となります。
ちょっと脇道に逸れますが、今現在巷で実際に使用されている提灯コードのほぼ全ては防水認定が取れません。(ちなみに当社製品は全て防水認定製品です。)実際に提灯が使われるのは屋外がメインなのに、それが事実です。なぜなら、防水認定を取るためには構成する全てのパーツ(電線、プラグ、コネクター、分岐部分、ソケット)が防水試験に合格し、かつ防水規格をクリアする必要があるからです。確かにひと昔までは若干規制が甘く、街の電気屋さんがピン端子型プロソケットというパーツで自作した提灯コードを使用することが習慣化していました。しかしながら、風雨に晒された自作提灯コードの感電事故が相次ぎ、2008年にピン端子型プロソケットの販売製造が中止となっています。
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